137-01.  RAIJIN   江戸信吾作曲

古来より雷神様は 水を司る五穀豊穣の神様として、人々に畏怖されてきました。
そんな雷神様の崇高で雄雄しく孤高なイメージを箏2部・17絃2部・尺八2部の
六重奏で演奏いたします。

〔編成〕:T箏・U箏・17絃A・17絃B・尺八T・尺八U
〔演奏者の感想〕:全てのパートが2部編成で特に17絃が2面というのは新しい
編成です。それが演奏としては面白味がありました。





137-1.    らせん  吉崎克彦 作曲

この曲は、らせんの様に二面の筝が対極的に絡み合い、くるくると反復しながら旋律が交差しており、
リズムの動きが曲の流れの中で、滑らかに表現できることが望ましい。

[編成] 筝T・筝U
[演奏者の感想] 





137-11. 羅 紋  柳内調風作曲

箏二部・17絃・尺八の四重奏曲で楽章は分かれておりませんが、
終わりの部分で最初のテーマが再現されていきます。
内容は「羅紋」の文字が示す本来の意味から連想されるように、
夢のような想念の発展ともいうべきもので、
尺八と17絃は東洋的な静けさと深みを表し、
箏は躍動的な若々しさと未来への希望を感じさせます。





137-2.  RYO-乱   水野利彦 作曲

灼熱の砂漠の上空を吹き渡る、気まぐれな季節変わりの風に誘われるように、
一期一会、オアシスでは、この世のものとは思われない、あらゆる花が咲き
乱れることがあると言われます。
まさに百花繚乱、自然の奥深い神秘と驚異を感じる瞬間です。
過酷な気候の中で砂漠の草木たちは、この一瞬のために長い時間を費やして
いるのかもしれません。新世紀に若者たちが鮮やかな花を咲かせてくれること
を祈って、この曲を演奏いたします。

〔編成〕:T箏・U箏・17絃・三絃T・三絃U・尺八
〔演奏者の感想〕: 





 138. リープ「跳躍」       水川寿也 作曲

 静かな海、夏のけだるい朝……
 そんな情景を思い浮かべながら創り始めたのですが、性分なのでしょうか、
 ついついイメージを膨らませ、自分自身が盛り上がってこの曲を作ってしまいました。
 皆さんも楽しんで演奏してみて下さい。盛り上がって!!そして飛んで行け!!





 139. 琉球民謡による組曲      牧野由多可 作曲

 この曲は琉球の代表的な民謡であるあさとや安里屋ユンタと八重山地方に
 古くから伝わる哀愁ある旋律『トバルマ』を素材とする幻想曲風の組曲です。
 トバルマとはトーラは影、トラーマは影の人、すなわち意中の人の事で、
 しんみりとした情歌として与那国島のションカネ節とともに二大名曲とされています。
 第一楽章はT箏の琉球音階による長いカデンツに曲を起こし、
 安里屋ユンタの旋律が緩やかにながれます。
 これが変奏形式のような形で発展し、第二楽章に入ります。
 第二楽章では尺八がトバルマの旋律を主題としてあらわれ、これが箏と絡み合って
 曲を賑やかな終りの楽章へ導いていきます。
 独特の弾んだリズムとシンコペーションを持つ舞踏調で次々とテンポを
 はやめつつ熱っぽく盛り上がっていき、最初のアサドヤユンタの旋律が
 あらわれて曲をしめくくります。

 〔編成〕1.2筝、17絃、尺八
 〔演奏者の感想〕キッチリとリズムが取れ合奏力が必要な曲です。 





 139-01. 瑠璃の空に   江戸信吾作曲

 栃木県の県鳥である「オオルリ」は越冬を終えると栃木の山々に飛来します。
 緑深き山々で春・夏と繁殖して、秋には、巣立ったオオルリ達が
 一斉に大空にはばたき空一面を瑠璃色に染めます。
 未来に向かって飛び立つオオルリの色は希望のエネルギーとなります。

  第一楽章 春・瑠璃の飛来
  第二楽章 夏・精霊たちの祈り
  第三楽章 秋・明日への飛翔





139-1.    筝・尺八二重奏 涼流  水川寿也 作曲

規則的なベースラインに、思いつくまま美しいメロディーを載せてみました。
題名の「涼流」は造語ですが、涼しげな流が感じられますでしょうか。
「美しく清らかに」そんな演奏楽しみにしています。

[編成] 筝・尺八
[演奏者の感想] 合奏を楽しむには良い曲です。





 140. 旅人考     笹本武志 作曲

 十返舎一九が「東海道中膝栗毛」を書き、井能忠敬が日本の海岸線の測量を
 行っていた頃、旅といえば徒歩がほとんどであった。
 五里、十里と歩くうちに草履が履きつぶれてしまう為、
 何処の宿場でも店先に草履を下げ、旅人はそれを買い求めて出発したそうである。
 夜は月が出ていればまだしも、雲の濃い晩などはとても歩けたものではない。
 天候や体調に気を配りながら、一歩一歩進んでいったに違いない姿を想像すると、
 その力強さの中に時代の浪漫が香ってくる





140-1 流音    吉崎克彦作曲

弾力のあるリズムをテーマに、シンプルを力としたスケールの大きな楽曲を
イメージされた作品です。存在感のある音と、バネのあるリズムが、楽器の個性と
絡み合いながら、音は流れを増していきます。
インパクトのある爆発的な音と、緩やかな絃の振動を遣い合わせた演奏者たちの
指は『流れ』を創り、やがて、序破急のある大きな、そして一つの『流音』、
音の流れを生み出していきます。

〔編成〕筝T・筝U・17絃T・17絃U・三絃・尺八T・尺八U
〔演奏者の感想〕何といっても合奏曲です。パワフルに各パートが一体となれば
        楽しい。17絃二面は良いですね。





 141. Revolution            菊重精峰 作曲

 もともと17絃・尺八の二重奏として作曲しましたが、
 作曲者の頭の中でレボリューション(革命)を起こし、
 「ストゥリングス・バージョン」デュオ・バージョン」
 そして「ソング・バージョン」まで登場しました。
 曲想は、静かな冒頭部が少しあり主題へとつながる。 
 曲の途中で長目の17絃ソロ、続いて尺八のソロが奏でられ、
 再び主題に装飾がなされ17絃のバルトークで曲を締めます。 
 フュージョン感覚でトライしてください。





 142 れんげ草と蜂蜜   宮田耕八郎 作曲

 春の田園にうす紅色の絨毯を敷いたように咲くれんげ草は、
 子供たちが摘んでは花のくびかざりを作り、
 蜂蜜に蜜を与え、やがて肥料になります。
 蜜蜂が一心に蜜を採集する姿は、美しくまたほほえましく、
 子供たちにとって興味つきない見ものです。  1989年6月作曲





 143.  六  段      八橋検校 作曲

 箏の創始者八橋検校の作です。箏には大きく分けて生田流と山田流がありますが、
 この曲は全ての流派で演奏される純然たる形式音楽で万世不易の名曲であります。
 一説に六段の原曲は支那万里の長城のほとり、騎馬武者の轡の音を音楽に
 現したものということです。
 筝 組曲表組段(くみきょくおもてぐみ)ものに属し、筝曲を代表する名曲である。
 俗に「段物」と称する調べ物の一種で、純器楽型式曲としては随一のものである。
 従って歌詞はなく、もっぱら旋律の美妙を表現したものとして、
 他の音曲にも応用される場合が多い。
 作曲の年代は寛文年間(1661〜1673)で、俗筝の初期に属する曲である。
 格段小間拍子にて百四拍子、それを六段合わせたもので、別に前奏四拍子がつく。





 144.  六段変化    水野利彦 作曲

 この作品は「六段」のテーマを筝・17絃・尺八の大合奏用に編曲したものです。
 原作の中に流れている『雅やかさ』を作曲者なりの感性でデフォルメされています。
 大合奏の中では余韻の多様な線の美しさや、個人的な音色感を表現することは難しいことから
 技法・手法的なことよりも、原作の持つ『優美』という内的な美感を、現代の感性でも
 共感できるようにという方向性で音は作られているようです。
やや甘さのある抒情的な副旋律と対比されながら『六段』のテーマが浮かび上がり、
 強調されるように編曲されています。





 145.     浪 漫 舞 流 (ロマン ブルー)     水野利彦 作曲

 青色は、限りなく神秘的で、ナイーブでエキゾチックな色。
 科目で思慮深い色、ときには驚くほど、はなやかで心ときめく色。
 空の青/ブルーと海の青/コバルトブルーが
 はるか地平線のかなたで溶け合って一つになったら、
 いったい どんな色になるのか、想像したことがありますか。
 それはきっと、すべてを染めて きらめいている。
 幻想的な浪漫的青色/ロマンチックブルーではないでしょうか。

                            1998年3月 作曲


 参考文献 山田・生田流 両流 筝唄全解  今井道郎著 武蔵野書院刊


 現代曲は各々の作曲者の解説から引用させて頂きました。
 また、古曲は「山田・生田流 筝唄全解 今井道郎著 武蔵野書院刊」を
 参考にさせて頂きました。